佐藤崇徳・我孫子隆・杉田亜希子:
GISを用いた農業集落カード・データの分析
地理学で従来から利用されてきた汎用データ (地理的情報) には,国土地理院による地形図,土地利用図や,国勢調査,農林業センサス,事業所統計などがあるが,最近これらが相次いでディジタル化され,一般に利用することが可能な形態で提供されるようになってきた。このような動向の背景には,CD-ROMやMOなどの大容量メディアが登場し,また,パソコンの高性能化により大量データの処理が容易になったことなどから,地理的情報の処理システムが [大型コンピュータ+磁気テープ] から [パソコン+上記の大容量メディア] へと変化し,より容易に地理的な情報を扱う環境が普及してきたことが挙げられる。また,近年急速に普及しているインターネットも,地理情報関連のデータの流通をより加速させるものであると考えられる。
このようにハード面での整備が進められる一方で,それに伴うソフト面 (制度・手法など) での進展も必要である。すなわち,これらのデータをどのように有効活用していくかについて検討するとともに,利用結果をもとに場合によってはデータのあり方について作成者側へ提言をおこない,より利用価値の高い情報を整備を目指すことが求められていると考えられる。
そこで本研究では,既存のディジタルデータを活用した集落レベルでのGISによる分析の事例として「農業集落カード」データの分析を行い,その有効性を示すとともに,GIS上での他の既存ディジタル地理情報データとの統合による分析を試みる。
本研究では,このデータをGIS上に取り込み,農業センサスのデータに関する集落単位での主題図を作成するとともに,その他の市町村別データの併用や,国土地理院の数値地図 (標高) や国土数値情報 (土地利用) などのラスターデータとの組み合わせにより,ある地域の農業の実態について,GISによっていかに概観を把握し,フィールドワークを行う際の手がかりをつかむことができるかについて,具体的事例に即して考察を行いたい。
なお,本研究には,“MapInfo for Macintosh 3.0J” を用いた。
※ ブラウザによってはマルチウインドウになっている場合があります。 マルチウインドウの場合は,上の「戻る」をクリックせず,このウィンドウを閉じてください。