熱統計物理学(後期・1単位) 専攻科

覆水盆に返らず。
人類は古くから世の中の不可逆性に手を焼いてきた。世の中は不可逆なのに,物理学はどちらかというと可逆な世界を扱うことの方が得意である。その不可逆性を正面から扱う物理法則が熱力学の第二法則あるいはエントロピーの原理である。熱力学では,このエントロピーというマクロな物理量を用いて,熱現象の不可逆な性質を記述する。こうした熱現象は,粒子の運動の統計で決まる。だから,粒子の運動を個別に議論しないでも,温度・圧力・エントロピーなどのマクロな物理量さえきちんと定義しておけば,熱現象を論じることができるわけだ。これに対して,同じ熱現象を,きちんと粒子の運動の統計を通して理解しようというのが統計力学の立場である。熱現象に限らず,多くの粒子の運動や状態が関与するような現象,たとえば,電気,流体,物性,化学などの諸分野の現象を扱う際にも,統計力学は無類の力を発揮する。
この講義では,身近な熱・統計現象を対象として,熱力学と統計力学という2つの物理的なアプローチの方法を学ぶ。この2つの立場から,エントロピーの概念をきちんと理解すれば,地球環境や生命,エネルギー,資源などの緒社会問題を,科学的な見方で捉えることができるようになるだろう。


2006年度 Week 8 課題および略解

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