マクロとミクロ
物理現象を見るとき,現象全体を見てその現象の特徴を捉えるマクロな見方と,現象の細部の観察から,その現象をもたらしている個々の要素を見極めようとするミクロな見方とがある。
たとえば,抵抗に電流が流れている「現象」を観察したとしよう。これを,電源の電圧と抵抗値と電流とで理解しようとすると「オームの法則」となる。これがマクロな見方である。一方,抵抗内部の自由電子は,電源電圧による電場のもとで,F=qEの力を受けて抵抗をつくる原子の中を運動する。各原子の存在は,外からかけた電場を乱すから,電子は単純な等加速度運動をすることはできない。実際には,電場の乱れは電子の運動にとって抵抗力となるので,電子は等速運動することになる。これがミクロな見方である。
このとき,個々の電子の運動は,各電子の今いる場所,無数にある抵抗体内部の原子の配列,その原子の種類などによってまちまちとなる。パチンコの玉の運動のように(あまり良い例ではなかったか・・・)。しかし,無数の電子が,無数の原子の海の中を運動する場合には,個々の電子の運動の詳細には関係なく,単位時間当たりに一定の電子が抵抗体を通過してゆくと考えて差し支えない。つまりマクロに考えれば良い。しかし,だからといって,ミクロな見方が無駄だというわけではない。たとえば,「もっと抵抗を減らしたい。どうすればよいか。」などを考える際には,ミクロな動作原理を知ることが不可欠であろう。