漢訳仏典では、三特相を諸行無常・一切皆苦・諸法無我と訳す。これに涅槃寂静を加えて、四法印とする。また、諸行無常・諸法無我・涅槃寂静の三句を「三法印」と呼ぶ。「法印」とは法すなわち教えの要約の意味である。
「諸行無常」は、『平家物語』の冒頭に現れることから、よく知られている。「諸行」とは現象するすべてのもののことである。現象するものは、すべて生成消滅し、永遠不変ではありえないことを説く。
「一切皆苦」とは、すべてのものが苦しみであるというのであるが、それは次の理由による。
「楽も、苦も、楽でも苦でもないものも、内面的なものであれ、外面的なものであれ、感受されるものは何でも、すべて消滅し、虚ろなものとなる。それ故、あらゆるものが苦しみ以外の何ものでもない」(Sn.738,739.)
すなわち、あらゆるものは楽・苦・不苦不楽の三種に分けられるが、楽も壊れるときには苦となり、不苦不楽もすべては無常であって生滅変化を免れないので苦となるから、苦ではないものは何もない。したがって、「一切皆苦」であるというのである。
「諸法無我」は、仏教の人間観、世界観とかかわるので、解説が必要である。