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学生実験 指導書 e3 実験395

「演算増幅器の使い方」

2003 2/24 加算回路回り小変更
2002 1/30 加算回路回り小変更
'01 2/13 変更
'98 11/19 小変更
'98 10/15 by 望月


I. 目的


II. はじめに

 演算増幅器は, もともとアナログ電子計算機に用いられていた高利得の増幅器で, 加減算,微積分,その他の演算に用いられていた。 集積回路技術の進歩と共に,演算増幅器も集積回路され, 一般の回路に用いられるようになった。 演算増幅器を用いることにより, 増幅回路を始め種々の演算回路を容易にしかも高性能に実現することが出来る。 時には個別部品(トランジスタやダイオード単体) を組み合わせて回路を設計するよりも, 簡単でかつ特性の優れた回路が得られる。

本実験では,演算増幅器の原理,基本的な使い方, 及びいくつかの応用回路を習得する。


III. 原理と基本回路の動作

(1)原理

 演算増幅器(Operational Amplifier, op-amp)は, 図1に示すように3つの端子で出来た素子であり, −(マイナス)で示される反転入力端子と, +(プラス)で示される正相入力端子(または非反転入力端子) の二つの入力端子に加えられた電位差を増幅し, 出力端子に出力する働きをする。

 それぞれの入力端子に,電圧 V1 , V2 を加えると,出力電圧 Vo

Vo = Ad * (V1 − V2) (1)

となる。この時, Ad を差動利得という。

どちらの入力端子に, 電圧 Vin を加えたときの入力電流 Iin の関係は, 入力インピーダンス Zin で表わされる。

Zin Vin
Iin
(2)

 なお,演算増幅器は一つの電子回路であるから, 上記の特性を実現するには電源が不可欠である。 図1では Vcc と -Vcc が電源の配線である。 この配線は余りにも当然過ぎるため回路図で省略されることが多いが,極めて重要である。 稚拙な電源配線をした場合には電気的特性が低下する可能性が高いので,注意したい。


図1 op-ampの回路図

演算増幅器として要求される理想的な特性と, 実際の演算増幅器の特性の比較を表1に示す。 表からわかるように,実際の演算増幅器はほとんど理想に近い特性である。 そのため,演算増幅回路を含む回路を解析する時には, 理想特性を示す素子と仮定してもよい。

表1 演算増幅器の理想特性と,実際の特性
パラメータ 理想特性 μA741 LF356
差動利得 Ad 100 [dB] 以上 100 [dB] 以上
入力インピーダンス 2 [MΩ] 106 [MΩ]
出力インピーダンス 0 50 [Ω] 50 [Ω]
帯域幅(−3 [dB]) 10 [Hz] 10 [Hz]

(2)演算増幅器の基本的使い方(比較器と増幅器)

演算増幅器には,大きく分けて二つの使い方がある。 一つは比較器でもう一つは増幅器である。

1. 比較器

 図1の回路は,比較器(コンパレータ)として動作する。 比較器は,入力 V1, V2 それぞれに別々の入力電圧を加え, 1つの出力電圧を取り出すものである。 このとき,出力電圧は式(1)で与えられ,正か負の非常に大きな電圧が現れることが予想される。 ところが演算増幅器の出力電圧は電源電圧範囲内に制限されるため, 実際には,+Vcc または -Vcc 以内の電圧しか出力できない。 従って,出力電圧には,二つの入力電圧のどちらの電圧が高いか, という情報しか出力されないことになる。  数学的に考えると,V1 = V2 の時には Vo = 0 になるはずであるが, Ad が極めて大きいことを考えると, 工学的にはそういう状態は殆んど考慮する必要がない。 入力条件と出力電圧の関係を表2に示す。  比較器は,アナログ信号をデジタル信号に変換する回路, または,デジタル信号伝送回路の受信部で用いられる.

表2 比較器の入・出力電圧
注 : 演算増幅器に加える電源電圧を ±15[V]としたとき
入力条件 理想出力電圧 実際の出力電圧 (注意)
V1 > V2 +∞ [V] +15 [V]
V1 < V2 −∞ [V] −15 [V]
例えば,V1 =1[V],V2 =2[V] −∞ [V] −15 [V]
2. 増幅器

 図2の回路を,反転増幅器と呼ぶ。 この回路では,入力信号が増幅され,出力端子から出力される。 もしも正弦波の入力であれば,出力信号も正弦波である。 出力電圧は,基本的には電源電圧よりも小さな電圧となり, ±Vcc に飽和することはない。 出力端子電圧の絶対値が電源電圧よりも小さいということは, V2 = V1 が成り立つことを意味する。 何故なら,両者に少しでも電位差があれば,式(1)より, 出力の絶対値は無限大になるからである。 両入力端子は直接的には接続されていないにもかかわらず V2 = V1 となることを「仮想ショート」という。 特に,この回路のように V2 = V1 = 0 [V] となることを「仮想接地」という。

 仮想ショートが成り立つ理由は,出力端子の電圧がマイナス入力の端子に接続されたことによる。 この配線方法は「負帰還」と名づけられている。 表3に,図2の回路にノイズが入った場合の回路動作を示す。 ノイズが入った時,回路内でつじつまを合わせ, 差動入力端子と同相入力端子の電位差がゼロになることがわかる。

 負帰還を含む増幅回路の特性を解析するときには, 入力電圧と,V2 = V1 という条件から出力電圧を計算すればよい。


図2 反転増幅器

表3 負帰還増幅回路の原理
回路の状態 入力電圧 出力電圧 正相入力端子の電圧 V1 反転入力の電圧 V2
初期状態 Vi(固定) Vo V1は常に0[V] V2 = V1 (=0[V])
仮定 Voにノイズが入り,
Vo の電圧上昇
経過1 Vo の上昇に伴い,
V2は上昇
経過2 V2 の電圧上昇に伴い,
Vo は電圧下降
結果 Vo はもとの電圧に戻る。 V2 は元の電圧に戻る。
注: この回路では V2 はアースに接続されていないにもかかわらず, その電位は常に V1 と同じ電位(即ち 0[V])である。 この様なことを, 仮想ショート(Virtual or Imaginary short) または仮想接地(Virtual or Imaginary ground)されたという。


IV. 回路,実験手順,課題

op-ampを使った回路を説明すると共に, 実験手順と,実験の課題を述べる。

共通課題

以下に上げる回路について, 理論的に動作を求めると共に, 実際に,または,コンピュータ上で回路を組み,それを動作させて, 各部の信号を観察し, 設計通りに動いているか確認すること。 (場合によってはグラフに記入等,適宜記録法を考えること)


実験1-実験で

実験室での反転増幅器の実験,については,ここでは省略します。


実験2-コンピュータを使って


(1) 比較器

次の図は比較器である。 反転入力端子と,非反転入力端子の電圧を比較し, 非反転入力端子の電位が高い時には +15 [V]* の電圧が, 反転入力端子の電位が低い時には −15 [V]* の電圧が出力される。
( * : 演算増幅器に供給される電源電圧が ±15 [V] の時)


実行例

実験
  1. e1 は振幅 1[V] (=2Vpp),1 kHz の正弦波としよう。
  2. e2 は振幅 1[V] (=2Vpp),2 kHz の正弦波としよう。
  3. シンクロスコープの POS を調整して, e1 と e2 のグランドレベルを同じところにしよう。
  4. 出力電圧のレンジを調整して,画面内に収まるようにしよう。
  5. シミュレーション結果を記録しよう。
  6. 周波数,振幅,電圧 など信号波形を変えたシミュレーションも実行しよう。

考察課題


(2) 反転増幅器

次に示すのは負帰還増幅回路である。 演算増幅器と抵抗 R1 と R2 によって構成されている。
この回路の電圧増幅率を計算しよう。
負帰還がかかっているため,常に仮想ショートが成り立つため, 反転入力端子の電位は,非反転入力端子の電位と同じく 0V になる。 入力電圧 e1 を与えた時, この時,抵抗 R1 を流れる電流は,

iR1 = (e1 - 0[V]) / R1 = e1 / R1 (3)

である。 演算増幅器の入力インピーダンスは ∞ [Ω] のため, この電流は全て抵抗 R2 を流れる。 これより,抵抗 R2 の両端に発生する電位差は,

[抵抗 R2 に発生する電圧] = iR2 * R2 = iR1 * R2 (4)

である。 反転入力端子の電位が 0 [V] であることと, 電流の流れの方向を考慮に入れ, 入力電圧 e1 と 出力電圧 vout の関係を求めるならば,式(5)が求められる。

out = − (R2/R1) * e1(5)


実行例

実験
  1. e1 は振幅 1[V] (=2Vpp),1 kHz の正弦波としよう。
  2. R1=10kΩとしよう。
  3. R2=10kΩとしよう。
  4. シミュレーション結果を記録しよう。
  5. R2=50kΩとし,シミュレーション結果を記録しよう。
    このとき,波形は全部画面上に収まるようにしよう。
  6. R2=200kΩとし,シミュレーション結果を記録しよう。 このとき,波形は全部画面上に収まるようにしよう。

考察課題


(3) 加算器

加算器の回路を次に示す。 この回路は,反転増幅器の回路を拡張したものである。 この回路でも,演算増幅器の入力インピーダンスは無限大であり, 2つの入力端子には仮想ショートが成立つことから, 出力電圧は,

out = − (R2 / R1) * e1− (R2 / R3) * e2 (6)

で与えられる。 もしも,入力部の2つの抵抗値が等しく,いずれも R ならば,出力電圧は,

out = − (R2 / R) *(e1 + e2(7)

となる.
この回路では2入力の加算器を示したが, 容易に3入力以上の加算器に応用できる。


実行例

実験
  1. e1 は振幅 1[V] (=2Vpp),1 kHz の正弦波としよう。
    e2 は振幅 1[V] (=2Vpp),2 kHz の正弦波としよう。
  2. R1=10kΩ,R2=10kΩ,R3=10kΩとし,シミュレーション結果を記録しよう。
  3. R1=100kΩ,R2=10kΩ,R3=10kΩとし,シミュレーション結果を記録しよう。
  4. e1 は振幅 1[V] (=2Vpp),1 kHz の正弦波としよう。
    e2 は振幅 1[V] (=2Vpp),10 kHz の正弦波としよう。
  5. R1=10kΩ,R2=10kΩ,R3=10kΩとし,シミュレーション結果を記録しよう。
  6. R1=10kΩ,R2=10kΩ,R3=100kΩとし,シミュレーション結果を記録しよう。

考察課題


(4) 積分器

能動素子を使用しないで抵抗とコンデンサだけで積分回路を構成すると, 回路は図7のようになる。 この回路では,信号の周期が回路の時定数 τ = RC よりも充分に小さくなければ出力信号に誤差が生じてしまう。 図8に破線で, この回路にステップファンクション信号が入った時の出力信号を示す。 図8に実線で,演算増幅器を使った積分器の出力信号を示す。 このとき,回路は図9である。 この回路でも負帰還の働きで仮想ショートが成立つため, 反転入力端子の電位は 0[V] である。
この時,抵抗 R を流れる電流は,

i = e1 / R1 (8)

である。 演算増幅器の入力インピーダンスは無限大のため, この電流は全てコンデンサ C を流れる。 これより,コンデンサ C に発生する電圧は,

[コンデンサ C に発生する電圧の大きさ] = Q / C = (1/C) ∫i dt (9)

である。 ただし,Qはコンデンサに蓄積された電荷量である。 電流の方向,反転入力端子の電位を考慮に入るならば, 出力電圧 vout は,

out = − (1/CR) ∫ e1 dt (10)

となる。


実行例

実験
  1. R1 の左側端子に入る電圧は,振幅 0.5V (=1Vpp),500 Hz の方形波としよう。
  2. R1=10kΩ, C1=0.01μF としよう。
  3. R2=1MΩとしよう。(大きければどんな値でも可)
  4. シミュレーション結果を記録しよう。
  5. 出力電圧が,R1, C1, 入力信号の振幅, 周波数から理論的に求められる値と一致しているか確認し,記録せよ。
  6. R1=20kΩとしてシミュレーションし,結果を記録しよう。
  7. C1=0.02μFとしてシミュレーションし,結果を記録しよう。

考察課題 注意


(5) 非反転増幅器(正相増幅器)

前述の二つの増幅器では,入力電圧と出力電圧は符号が逆であったが, 等しい符号の出力を取りだせる回路もある.それが図5に示す非反転増幅回路 (正相増幅回路)である. この回路でも,負帰還の働きで仮想ショートが成立ち,反転入力端子の電位は, 正相入力端子の電位と等しいため,V2 = V1 となる. また,演算増幅器の入力インピーダンスが無限大のため, 抵抗 R と R' には同じ大きさの電流が流れる.そのため, 入力電圧 vin と 出力電圧 vout の関係は,

out R + R'
vin = (1+ R'
)vin
(11)

で与えられる。


実行例

実験
  1. e1 は,振幅 1V (=2Vpp),1kHz の正弦波としよう。
    R1=10kΩ,R2=10kΩとしよう。
  2. シミュレーション結果を記録しよう。 特に,仮想ショートが成り立っているか充分に観測せよ。
  3. R2=50kΩとしてシミュレーションし,結果を記録しよう。
  4. R1=10MΩ(充分に大きな抵抗)としてシミュレーションし,結果を記録しよう。 R1を無限大とした回路は「バッファ」と呼ばれている。

考察課題


(6) 発振器


実行例

実験
  1. e1 は,振幅 0.01mV (=0.02mVpp),1kHz の正弦波としよう。
    R1=10kΩ,R2=10kΩ, R3=10kΩ,C1=0.01μFとしよう。
  2. 各測定チャンネルのレンジとグランドレベルを合わせよ。
  3. シミュレーション結果を記録しよう。
  4. R1=20kΩとしてシミュレーションし,結果を記録しよう。
  5. R2=20kΩとしてシミュレーションし,結果を記録しよう。
  6. R3=20kΩとしてシミュレーションし,結果を記録しよう。
  7. C1=0.02μFとしてシミュレーションし,結果を記録しよう。

考察課題 回路を組むときの注意


その他,自由に回路を作ってみよう

例1:差動増幅器

二つの入力信号 e1 と e2 の差を増幅する差動増幅回路を次に示す。 この回路は, ちょうど反転増幅回路と非反転増幅回路を組み合わせている。 出力電圧は,

out = (R'/R) e2 − (R'/R) e1 (12)

で与えられる。ただし,R2 = R4 = R', R1 = R3 = R とする。


実行例↑

特に義務ではないが,有志の学生はシミュレーションをしてみて欲しい。

例2:???回路

トランジスタ Q1 の上にある,緑の四角形は, 負荷抵抗を表わす。
もしも,この回路図を参考に回路動作をチェックしたければ, 四角形の代わりに,抵抗や,コンデンサなどを入れてみれば良い。
ヒント:
"何を入れてもよい"ということは,「どんな時でも同じ動作をする」 と考えられる。 回路動作から考えると,どんな時でも同じ動作をするものとして直ぐに思い浮かぶのは, "電源"である。 電源には定電圧源と定電流源の2種類あるが, いずれの場合にも回りの回路によらず一定の電圧(または電流)を供給する。


注:この回路はこのままでは動きません。↑


V. 考察課題(まとめ)

(1)各実験それぞれの課題について考察せよ。
(2)差動増幅器の出力の式(12)について, まず,抵抗マッチング条件 R2=R4,R1=R3 が成り立たなかった場合の式を求め, 抵抗マッチング条件 R2=R4,R1=R3 が成り立った場合に式(12)になることを確認せよ。
(3)例2 の回路の回路動作を説明せよ。


VI. 参考文献

アナログ電子回路(藤井信生)昭晃堂 1984年


付録 a. 抵抗値の読み方

                 
01234 56789
例:
 茶 赤 橙 = 1 2 3 = 22. × 103 = 12. kΩ


付録 b. コンデンサの読み方

                 
抵抗値の読み方と同様のルールが適用されるが,次の2点が抵抗の場合と異なる。
・数値がそのまま印刷されているので,色などと数値との対応を新たに覚える必要がない
・単位の基本は pF (ピコ ファラッド = 10-12 ファラッド)である
例:
 2 2 4 = 22. × 104 pF = 220. nF = 0.22 μF
なお,マイクロファラッドのオーダの容量では,そのまま値を印刷してあるものもあります。


付録 c. データシートの見方

                 
IC(Integrated Circuit = 集積回路) は,黒いプラスチックパッケージに,2列になってたくさんの端子がついた形が基本的な形である。 IC がどういう機能を持っているか,どのように調べたらよいか,以下にまとめる。
  1. IC には文字が刻印されている。そのうちの小さな文字はロット番号と呼ばれるものであり, どの工場でいつ生産されているかを示している。
  2. IC に刻印された文字のうち大きなほうは,型番を表わす。
  3. IC の型番のうちの最初の2文字程度は,その IC を生産する会社を表わす。
    例:
    AD = アナログデバイセズ社
    AM = デイテル社
    AN = 松下
    CX = ソニー
    HA = 日立
    ICL = インターシル社
    LF = ナショナルセミコンダクター社
    LM = ナショナルセミコンダクター社
    MAX = マキシム社
    NJM = 日本無線
    OPA = バーブラウン社
    TL = テキサスインスツルメント社
    μA = フェアチャイルド社
    μPC = 日本電気
  4. その IC を生産する会社に電話等で「データシートを送ってくれ」と連絡すると, たいてい無料で送ってくれる。
  5. IC のデータシートを見て,最初に見るべきは,「最大定格」であろう。 この値を超えると IC が壊れてしまう(ICの動作が保証されなくなる)。 電源電圧の範囲と,動作温度範囲を確認しよう。
  6. IC の各ピンには番号が付けられている。 番号付けの順序は,マークのついている場所を1番ピンとし, そこから半時計回りに順繰りに回っている。
    したがって,全部で14本の足を持つICの8番ピンと,全部で8本の足を持つICの8番ピンは, かなり離れた位置にある。しかし,現在,四角形の IC も販売されていることから, ぐるりと回って番号付けする名づけ方は一般性が高い。
  7. ピン配置図を確認しよう。TL072 の場合には,8ピンのパッケージの中に, 2回路のop-ampが入っている。
    電源ピンがあることも確認しよう。
  8. IC の特性には,3通りの書き方がある。Max と Typ と Min である。
    Min とは,最小値で規定するものであり,理想的には大きいほど良いものに適用される。 例えば,「利得」はMinで規定される。
  9. Max で規定されるのは,理想的には小さいほど良いものである。 例えば,オフセットはMaxで規定される。
  10. Typ で規定されるものもある。Typ とは「標準値」という意味である。 これは,もしも100個のICがあるとしたら,その値の大きいものから小さなもまで順番に並べたとき, 50番目のものがもつ特性と考えてよい。
    注意しなければならないのは,「平均」でないという点である。 例えば,3つの素子それぞれが 100,10,1 という特性を持つと,平均では 37,標準では 10 となる。 回路の特性は対数的に変わることが多いので,標準値の考えのほうが実際的である。
  11. これらの特性が保証される「条件」についても考えておこう。 特に断わりが無ければ,表の済に温度条件等が書かれており,それが測定条件になる。
  12. 場合によっては特別な条件のもとでのみ保証された特性もある。そういう場合は必ず書いてある。


付録 d. オシロスコープを使った波形観察のコツ(ピークtoピーク,Vpp)

                 
オシロスコープ上で観測した波形が,正弦波や三角波などよく知られた波形だった場合には, その振幅を測定する際に,最大値と最小値の差を測り, その値を Vpp (ピークtoピーク電圧)で記録します。
例えば,100[V]の商用電源の場合,
実効値最大値最小値ピークtoピーク
100 [V]141[V]-141[V]283[Vpp]
となります。
 ピークtoピークを測定を,最大値の測定を比べると, いちいちGNDレベルを設定しなおす必要が無いため素早い測定が可能であり, レンジが倍になるため精度も上がるというメリットがあります。
 しかし,この測定方法を当てはめることの出来る波形は, 単一の電圧情報で表わすことの出来るものに限られますので,注意しましょう。


付録 e. CV の起動と使い方

                 

回路シミュレータの起動

実験の準備のために以下の処理をして下さい。
  • スタートボタンを押し,
  • ファイル名を指定して実行... を指定し,
  • "\\farad\app\circuitv\Cv_prevw.exe" と打ち込み,
  • 「OK」ボタンを押して,ソフトを立ち上げる。

ソフトの使用法について

ソフトは直感的に使えると思います。
以下に,質問の多かったことについて,まとめます。
  • op-amp を使うときは,必ず5つの端子のある素子を選んで下さい。 そうしないと,幾つかの回路は動作しません。
    また,5つの端子それぞれの機能を十分に考えて配線すること。 電源端子には,+15V または -15V の直流電圧を配線し, 信号入力端子には信号を入力しよう。 (信号入力端子へ電源をつないでいた人を見掛けたので)


付録 f. レポートの書き方:一つの提案

                 
☆レポートの効率的な書き方の例をこっそり(!?)教えます。
  • それは,この電気工学科の演習室で,ワープロを使ってレポートを書くことです。
  • サーバコンピュータ"FARAD"上にあるアカウント名と同じ名称のディレクトリは, 学生がファイルを専用に保管できる領域ですから, もしも作業が明日以降にずれ込んでも安心です。
  • Windows上のソフトウエアで共通的に使うことのできる「コピー & ペースト」 機能を使うことにより,指導書を写す手間が大幅に楽になります。
  • この演習室にはプリンタもありますから,ここで出力できます。
  • フロッピーディスクを持っていて,家に同じワープロがある人は, 自宅で作業を続けられます。 (注意:もしも同じワープロだがバージョンが古いという場合は, この部屋でセーブする時に「ファイル名を指定して保管」 というメニューを選び, その際にファイル形式として古いバージョンを指定しよう。
  • もしもここに今表示されているところを全部コピーしてワープロするならば, 「必要なところを取捨選択する」 ように。 この文章には,ここのコラムなどレポートに不要な部分があります。 「ふさわしくない部分が残されたレポート」 が減点対象になることは言うまでもありません。


付録 g. CV 画像のワープロへの取込み

                 
☆画像のワープロへの取込み
Windows上のソフトウエアで画面上に描かれた画像は, 次の操作でワープロ上に貼り付けることが可能です。
  1. 前提条件の確認:ワープロも, 画像を取り込みたいソフトウエアも立ち上っている。
  2. 取り込みたい画像が表示されているウインドウを,アクティブにします。 (マウスを持っていって,作業と関係の無いところをクリックすれば良い)
  3. 「Alt」キーを押し始めます。
  4. 「Print Screen Sys Rq.」というキーを押します。
  5. 「Alt」キーを放します。
  6. ワープロのウインドウを,アクティブにします。
  7. 画像を張り込みたいところをマウスでクリックします。
  8. 「編集」メニューから「張り付け」を選択します。
重要:画像の数は最小限に減らし, それぞれも波形が分かる範囲でなるべく小さくしよう。 ←画像はべた画面になるため, 印刷のインクが異常に減る原因になります。

以上.