天城連山の万三郎岳から西へ連なる稜線の北側に、北に開けたU字形の凹地があります。ここがカワゴ平(皮子平)です。かつてここから北に向かって大量の溶岩が流れ出した跡の地形を、空中写真の立体視によりはっきりとらえることができます。
カワゴ平は約3200年前に起きた伊豆東部火山群の中でも最大規模の噴火の火口です。爆発的な噴火で上空に舞い上がった火山灰は風に乗って北西へ流れ、遠くは琵琶湖の近くでも地層中から見つかっています。また、この噴火では火砕流も発生しました。
一連の噴火の最後に約4億トンもの流紋岩質の溶岩が北へと流れ下りました。この溶岩は火山ガスが抜けた気泡をたくさん含んだ軽石状で、隙間の多いこの溶岩が大量の地下水を涵養しています。溶岩流の末端付近では湧き水が豊富で、わさび沢が広がっています。