ひとりごと33 「M.スコット・ペックを読む」
2012. 12. 28. 佐藤 憲史
l M.スコット・ペック,「平気でうそをつく人たち」,草思社,1996年.
l M.スコット・ペック,「愛と心理療法」,創元社,1987年.
学生や大人が明らかにうそをついている,という経験をした.しかし,それを覆すことはできなかった.平気でうそをつくことへのショック,子供はよくやるがどこかでしなくなる.それらのうそは言った人を正当化したり,言われた人(私)を非難するものであった.自分は悪くない,他人のせいだ,という主張に「ナルシズム」を感じた.
大抵の者はうそをつかないことを信条にしているし,真理や正義に忠実であろうとする.なぜ人はうそをつくのか.「平気でうそをつく」で検索すると,上記の本がアマゾンから出てきたので購入し,すぐに読んだ.同じ著者による「愛と心理療法」は,”THE ROAD LESS
TRAVELED”というタイトルで1978年に出版されベストセラーとなり,その後長く読み継がれている本ということを知った.”Life is difficult.”という文章で始まり,著者は仏教に通じるものと言っている.
著者は,精神科医であり,心理療法士である.心理学的に,「悪」,「邪悪な人間」を追及している.邪悪の根底に「ナルシズム」(自己愛)があることが指摘されており,やはりそうかと思った.
これらの本から印象に残ったことを引用する.
² 「悪性のナルシズム」:屈服することのない意志.罪悪感や良心よりも我を通そうとする.ヒトラーの例.
² 精神の健康を勝ち取る手段,訓練:人生は困難なもの,問題の連続
ü 楽しみを後回しにすること
ü 責任を引き受けること
ü 真実に忠実であること
ü バランスをとること
² 「その手段とは,苦しみを引き受ける技術,つまり,問題を徹底的に受けとめてうまく解決し,その過程で苦しみをひき受けながら学び成長していくことである.訓練することを教えるとは,いかに苦しみ成長するかを教えることに他ならない.」
² 「我々はとてつもなく長い時間を聞くことに費やしているが,そのほとんどを無駄にしている.大抵の人が,まともに聞いていないからである.」「聞くことがどんなに難しいか,上手に聞くことは注意を働かせることであり,面倒な仕事である.」
² 「愛とは,自分自身あるいは他者の精神的成長を培うために,自己を拡げようとする意志である.」
「愛と心理療法」は,カルロスゴーンさんの愛読書らしい.年に1度は読み返したい本だ.
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