S4後期の応用物理は熱力学の初歩を学ぶ。
近代工業の発展は、ワットによる蒸気機関の発明が引き金になったと言っても良いだろう。熱から大量の仕事を生み出すことができるようになったからである。その後の産業革命を経て、蒸気機関はさまざまな形に改良されていった。その副産物として生まれたのが「熱力学」である。ガリレオやニュートンらのアカデミックな探求心から発展してきた「力学」とは違い、はじめから現実的応用を睨んでつくられた分野なのである(物理の分野の中では異例なことである)。そういうわけで、熱力学は現象論から入ってゆく。つまり、熱を加えるとどれだけ温度が上昇するか。圧力や体積はどうなるか。熱はどのように伝わってゆくか。熱からどれだけの仕事が取り出せるか、などなど。しかし、そもそも熱って何だろうか。温度って何だろうか。熱力学が構成されていく過程で、古くからの解決されていなかった「物理的・哲学的」問題に答えが与えられることになる。
この授業では、熱に関する現象論をたどりながら、「熱とは何か」「温度とは何か」そして、熱に関する不可逆な性質についてきちんと考えられるようになることを目標としたい。もちろん、工学の基礎として、具体的な計算問題も欠かせない(覚悟していただきたい)。
教科書には、豊富な問題が載っているので(しかも奇数問には答えが出ている)、ぜひ自分で解いてみて欲しい。自分で計算しないと物理は納得できっこない。それから、きちんとノートをとっていただきたい。定期試験はノートの持ち込み可とする。