ひとりごと45  「上海に行く」

2016. 12.27  佐藤 憲史

1010日から15日まで,中国上海市に行ってきた.上海交通大学(Shanghai Jiao Tong University)で開かれた,The 6th Asia Pacific Optical Sensors Conferenceに参加することが目的であった.中国に行くのは初めてだったが,何度も上海に行かれたことがあるMさんからお話を聞いてだいたいの様子が分かっていた.1010日,羽田発のANAに乗って約3時間で上海に着いた.時差が1時間しかなく,アメリカやヨーロッパに行くより断然楽であり,国内旅行と大して変わらない.中国から日本へたくさんの旅行者があることもうなずける.

上海は大都会である.地下鉄が整備されていて虹橋(ホンチャオ)空港から20分くらいで大学に着いた.地下鉄の車内で立っていると中学生くらいの女性から席を譲られた.言葉はわからないがしぐさでわかった.日本ではめったに経験しないが,手を振って断った.外国に行くとまずその植生に目が行く.道路わきにツワブキの黄色い花が咲いていて伊豆あたりと変わらない.スズメもいる.道路にはポプラが街路樹として植えてあり,ヨーロッパ風だ.滞在中時間を見つけて散歩した.銀木犀が香っていたが金木犀は見当たらなかった.中国の道路は右側通行で,電動バイクが多かった.赤信号でも右折は良いようで,横断歩道にバイクや自転車が突っ込んでくるのでうっかりできない.

コンファレンスは朝早く8時頃から夕方5時ころまで続く.大学の職員食堂のようなところで昼食であった.円卓を囲んで中華料理がこれでもかと出てきた.パクチーのような野菜から肉,魚とほとんど油で揚げてある.味は我々日本人にも食べやすいあっさりめだった.同席した韓国からきた方とお話した.イセドルがAlphaGoに負けたことを話題にしたら,時間がなく可哀そうだというようなことを言っていた.

コンファレンスが終わって少し時間があり,上海市内にある豫園と言う観光地に行った.金曜日の夕方だったが観光客であふれていた.豫園は16世紀に造られた庭園である.池の鯉や銀木犀などの庭木は日本と変わらない.建物は岩を巧みに使い日本にはない様式だ.園内で中国民謡の演奏と歌を楽しんだ.妻子にお土産と思い,アクセサリーの店に入った.琥珀のネックレスと言うが本物かどうか確証がない.安ければ買おうと思うが,安いということは本物でないような気もする.どこかのデパートで値札の付いたものを見た事があるが,似たような色をしている.店のおばさんと値段の交渉をして,当初の値段から1/5になったあたりで買った.その帰り,町裏のさびれた通りを歩いていると軒先にいろいろな石ころを並べている店があった.店の中にはアクセサリーに加工してあるものもあったが,それほど完成度は高くないように見えた.主に原石を売っている店のようだ.その中に琥珀の原石と思われるものがあった.店のご主人と話したが英語が全く通じない.仕方なく主人が出したスマホの画面で数字を入力しながら値段交渉をした.結局石ころ2個買った.日本に帰って調べると,琥珀の比重はプラスチック程度で,飽和食塩水に浮くとのこと.琥珀のネックレスと思って買ったものは浮いたが石ころは沈んだ.石はなんだったのか.店の主人も琥珀として売っていたのではないだろう.石を投げつける真似をしていたので隕石ガラスなのだろうか.琥珀のネックレスと思って買ったものも同じような比重を持つプラスチックの模造品があるとのことで,真贋は定かではない.しかし,このような買い物も旅の醍醐味である.

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