ひとりごと37  Bird Carvingを始める」

2014. 5. 11.  佐藤 憲史

 

最近,Bird Carvingを始めた.直訳すれば「鳥の彫刻」である.この言葉には無知だったが,どこかで見た事のある,カモなどを木彫りするのをやってみたくなり,ネットで調べてそれと知った.カモの模型はデコイと呼ばれており,アメリカなどで狩りに使われたおとりだそうだ.それが鳥の模型を作る趣味として発展し,1970年代に日本にも伝わったとのことである.なぜそんなことを始めたかといえば,何か無性に手を使ったものづくりがしたくなり,そこから鳥の彫刻となった.小さいころから絵を描いたり彫刻など図工が好きであった.作り方をネットや図書館で調べた.初心者にもできるキットが販売されており,それをネットで購入してやってみた.最初はシジュウカラにした.なんとなく見た覚えもあったし,その容姿の端麗さにひかれた.目は既製品があり,足は針金を加工して作る.本体は,大まかなカットが施されている木のブロックから彫りだす.小刀を久しぶりに使ったせいか,手を23か所けがした.鳥の設計図や写真を見ながら作るが,それらは平面に描かれた図形であり,3次元に加工するのは結構難しい.3Dプリンタは3次元の物体をコピーするわけだが,2次元図形から3Dプリントできればすごい. 3次元のデータがあれば可能であり,そのような装置もあり,彫刻するロボットができるかもしれない.3Dプリンタなどが進歩すると人間による手作りというのは,一部の高級品か芸術作品でしか通用しなくなるのだろうか.

実物そっくりに作るのはリアルバードカービングと呼ばれており,解説本もいくつか出ている.ウェブで検索すると野鳥の写真がいくつもあり,本とそれらの写真を見ながらいくつか作ってみた.口ばしや頭の形状の詳細がある程度理解できて,それらしい格好になった.鳥の頭部は飛行機や新幹線の形状に似ていると思ったが,設計でも取り入れているそうだ.形状ができたら色付けである.何年かぶりで絵筆を持った.鳥の場合はアクリル系の絵具を使う.思うように色が出ないが,何度か色を重ねているとそれらしくなった.

これまで,シジュウカラ,スズメ,ウグイス,メジロ,カワセミと,小型の野鳥を作った.技術がだんだん進歩してきて,カワセミでは口ばしなどよくできたように思う.茶箪笥に飾ると家人は最初驚くがそのうち,気持ち悪い,もうこれぐらいにしといたらと,つれないことをいう.作るのは大変だが作り物はすぐ見飽きる.母の日に田舎の母へメジロを送ったら,上手にできていると喜んでくれた.しかし,何の鳥かあまり関心がないようだ.

Bird Carvingをやって,木材と野鳥に関心がいった.外国産の専用の木材があり, ネットで購入できる.2作目のスズメを家にあったヒノキの木っ端で作ったが,木目や節があり削るのが大変だった.木目が美しいので絵付けを中途半端にした.他は,チュペロ,ジェルトン,バスウッドという輸入材で定番のものを試した.ジェルトンは東南アジア産の広葉樹で樹皮からガムの原料になるチクルを採っているそうだ.そのせいか木材を削ると良いにおいがする.

これまで野鳥を何気なく見ていたが,いろいろな種類がいることに気付く.冬鳥のツグミは学校の庭によく来ていたが,5月になるとぱたりといなくなった.シベリアに渡ったのだろうか?ツグミに代わってムクドリが目立ってきた.家の近くの上岩崎公園では,川があるせいかいろいろな鳥がいる.カワセミが川面を素早く飛ぶのを見た.キセキレイ,ハクセキレイ,セグロセキレイの区別ができるようになった.尾の長い大きな鳥が群れでいるが,オナガであることが分かった.背や尾羽が水色で美しく,近場にこんな優雅な鳥がいるのかと驚かされた.学校の帰路歩いていると,木と電線を行きかうにぎやかな小鳥の集団があった.あれは尾が長いことからエナガだろう.30くらいの鳥の種類を見分けられるようになった.日本にいる野鳥は600種類以上とのことである.スズメは2000万羽ほどいるという調査があるが,最近減っているそうだ.鳥と人間の数はそれほど違わないのかもしれないなどと考えていると,外を歩くのが楽しくなってきた.

 

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