ひとりごと36  「同窓会」

2014. 1. 3.  佐藤 憲史

 

元旦に中学校のときの同窓会があった.還暦を迎える年にそれを祝う会ということで,参加してきた.よく遊んだ友人に会うと昔に戻り,タイムマシンに乗った気分になる.今を見れば浦島太郎である.ささやかな思い出が楽しくよみがえる.話してみるとそうだったとうなずくこともあるが,相手が記憶していないことや自分には覚えがないこともある.自分がそう見えていたのかと,新たな発見がある.郷愁の念に浸るだけでない,今を知る機会になる.中学生の頃は異性に目覚めるときでもあり,淡い思いを抱いた女性とも再会した.中学の時は話もできなかった女性たちだったが,いろいろ世間話などした.今でも面と向かって話せないということもあるが,あの頃の輝きを思い出すと現実の面とは向き合えないような気分になる.

5年前にも同窓会があったが,その時は参加しなかった.家族のことなどあり参加する気分ではなかった.同級生は全体で200人ほどいるが,今回参加した人はそのうちの1/3程度だった.60歳という年齢まで生きてきたことに感謝してひと時を過ごす,それが楽しいことと思えても,それどころではない方もいるのだろう.しかし,参加してみるとみんな笑顔で楽しい時間だった.また何年後かも元気で参加したいと思う.

妻は同窓会に参加するということがないので,同窓会はいいよと今回の経験を話してみた.たまに同窓会の連絡があるようだが,あっても行きたくないと.「過去は振り返らないと言っていたのはどうしたの?酒飲んで騒いで,昔好きだった女性とハグしてきただけじゃないの」と逆襲された.ハグした女性たちは昔から話ができた気兼ねない友人であり等言い訳してもしょうがないが,「過去は振り返らない」というのは違う.懐かしい同級生と会って話をするのは楽しいし,それは健全だ.ただ,懐かしいことに浸りきりになる,あるいは過去の過ちをあれこれ悔む,そのような状態に陥らないということだ.

過去には戻れないが過去を消すこともできない.忘れていたことをあれこれと思いだす.かけがえのない楽しい思い出もあるが,今でも恥ずかしくなるようなことがたくさんある.でもいいや,これからがあるさと言い聞かせる.

過去の「ひと