ひとりごと24  「ワールドカップを楽しむ」

2010. 7. 18.  佐藤 憲史

 

サッカーワールドカップ南アフリカ大会が終わった.今回の大会では,日本が予想外の活躍で決勝トーナメントに進出したので大いに盛り上がった.私は,日本は予選リーグで3連敗すると読んでいた.大会前の国際親善試合で日本は連敗を重ねていたし,カメルーンやデンマーク,オランダには勝てないと思った.その予想は,カメルーン戦でくつがえされた.松井から本田へのパスが通り,ゴールが決まった場面は脳裏に焼き付いている.ゴールが決まる時は,いくつかのステップが有機的に結合し,ボールのラインがきれいにネットに吸い込まれていく.その瞬間を見逃さないように,集中して観戦する.今回のワールドカップでは,日本の4試合始め,かなりの試合を生テレビで見た.日本時間で朝方3時半からの試合が多かったが,前夜の10時過ぎに寝て翌朝3時に起きるのを何度か経験した.南アフリカとの時差を体感するのもワールドカップであり,いろいろなお国柄を見るのも楽しみである.あのブブゼラも最初は耳障りであったが慣れてきた.南アフリカには,立派な競技場がたくさんあるなと感心した.アフリカ大陸のチームがもっと活躍すると期待していたが,決勝トーナメントに進出したのはガーナだけだった.そのガーナは,ウルグアイにPKで負けた.ウルグアイの選手がゴール前でバレーボールのような手を使ったブロックをした.これでは滅茶苦茶だ.ハンドの反則はサッカーを否定するものであり,興ざめする.しかし,その反則で得たPKをガーナは決められなかった.

スペインのサッカーは新鮮だった.パスをつなぐ連係プレーが見事だった.スペインかアルゼンチンが優勝すると思っていたので,スペインの優勝には納得した.アルゼンチンはドイツにあっけなくやられてしまった.ヨーロッパ勢は強かった.アフリカ勢は守りが甘く戦術が単調な気がする.ヨーロッパのチームは守りが堅く,いろいろな策で執念深くゴールを狙ってくる.スペインは1点取れればほとんど勝てるという気がする.日本や韓国,アメリカは,サッカーでは発展途上国だ.何が違うのだろうか?野球では,守備と攻撃がはっきり分けられるが,サッカーではそれら対立する作業をいかに切り替え組み立てるかが問題だ.サッカーでは,ファールと積極的なプレーは紙一重だ.ファールにならないようにする,あるいは相手がファールになるように仕組むなど,駆け引きがある.敵をだまし,審判をだますことは,成功すればよいということになる.審判が見ていないところでは敵のユニホームを手でつかんでいることなど,よくあることだ.上述したウルグアイの選手のハンドはとっさにやったことだろうが,結果的に勝利に貢献したことになる.しかし,見ていて後味が悪い.それに対し,スペインのサッカーは違った.

スポーツには勝ち負けがある.勝った時の感激や喜びが忘れられないので続けられる.しかし,負ける体験も大事だ.19931028日の「ドーハの悲劇」は,いまでもはっきり覚えている.テレビで観戦するだけでも負けた試合はかなりのショックを受ける.やっている選手にとってはいかほどか.

私はスポーツをほとんどやっていないが,囲碁をやる.囲碁はメンタルスポーツであり,勝負の世界だ.囲碁でも守りと攻めをいかにするかが問題だ.私は,昨年秋,負けが続き,それが嫌になって今年になってからは全く対戦していない.負けると自分の持ち点が減ってどんどんランクが落ちていく.それに耐えられなくなり,他人の対戦やプロの対戦をウェブやテレビで見ることしかやらなくなった.なさけない.ワールドカップに刺激されたので,また,対戦してみようと思う.ウェブでの対戦では,世界中の人と対戦できる.

 

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