ひとりごと21  「卒業式」

2010. 3. 27.  佐藤 憲史

 

 3月は卒業式のシーズンである.先週は2日続けて,息子の小学校卒業式と高専の卒業式に出た.息子は末っ子で,後がないので出席した.息子の通った三島北小学校は,去年から今年にかけて建て替えられ,木がふんだんに使われており廊下も広く,明るさを感じた.卒業式は,真新しい体育館で行われた.卒業生と5年生が向かい合って,歌を歌ったり言葉を掛け合ったりする,小さな音楽会のような演出を楽しんだ.

高専の卒業式は長泉町の文化会館で行われたが,式はいたって伝統的な内容である.私は,4年生の時から卒業生の担任だったので,今回の卒業式は送る側の立場で感慨深かった.卒業生はほとんどが20歳で,高専を卒業して就職する者,大学へ編入学する者と違う進路に分かれ,また,いろいろな地域に別れる.別れ際に何か一言でも声かけようとしたが,なかなかいい言葉は出てこない.ある学生に,「将来,君は,何か発明してくれると期待している」というようなことを言ったら,「先生,お酒を飲んでいるんですか」と言われた.前の晩に飲んだ酒が残っていたのかもしれないが,それはともかく,卒業生全員が晴れやかに飛び立っていくのを見るのはとても爽快であった.卒業生から花束をいただき,心遣いを嬉しく思った.学生にはいろいろ未熟な面もあったが,私が20歳の頃を思い出すとよっぽどしっかりしているような気がする.私は大学や会社で鍛えられたし,卒業生もさらに成長するだろう,そんなことを考えながら帰途についた.

卒業は,学校を出るとき以外にもある.前の会社を退職したとき,卒業したような感慨を持った.退職するとき,何年間か勤めた会社を「卒業する」というふうに述べる方も多い.あるところから飛び立ち,次のところに向かう,それは別れの時でもあるが,何か希望がわく時である.次のステップは,これまでの工程で準備されたものだ.先を見て歩くことが大事である.

 

 

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