サンジャヤは、あらゆる問いに対して確答を避ける「不可知論」の立場をとった。次のように答えることを習わしとしていたという。
「もし、あなたがあの世はあるかとたずね、
自分があの世は、あると考えたなら、あの世は、あると答えるであろう。
しかし、私はそうしない。
そうとは考えない。
それとは異なるとも考えない。
そうではないとも考えない。
そうではないのではないとも考えない。」
このような彼の論法は、「うなぎ論法」といわれ、仏教の「無記」の考え方に影響を及ぼしたと考えられる。ブッダの二大弟子サーリプッタ(舎利弗)とモッガラーナ(目連)は、はじめサンジャヤの弟子であったと伝えられている。
また、この思想は、ジャイナ教のスヤード・ヴァーダと似ている。不可知論的な傾向は、ブッダ時代に濃厚にみられるが、このような思想風土が、自己と他者の思想の白黒をはっきりさせないで両立させる文化多元主義の基盤になっている。