10. 如来蔵思想

 如来蔵とは、生きとし生きるもの(衆生 しゅじょう)が皆、如来を胎内に宿しているということである。如来すなわち仏になる可能性は仏性(ぶっしょう)ともいわれるが、それがすべての生きものにそなわっているという教えである(一切衆生、悉有仏性)。

 この如来蔵あるいは仏性を所有することが、あらゆる生きものがいつかは仏になり救済されうる根拠であるとする。『勝鬘経』大乗の『大般涅槃経』『楞伽経』『大乗起信論』などに説かれる。21)


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 21) 高崎直道「大乗仏教の形成」(『岩波講座東洋思想』第 8巻、11988年)178頁。 【本文へ】