『無量寿経』は、法蔵菩薩が一切の衆生の救済を誓願(本願)し、偉大な菩薩行を行って、如来となる経緯を明らかにする。16)
この如来は、無量の威光があるから、アミターバ(無量光、阿弥陀)と呼ばれ、無量の寿命を有するからアミターユス(無量寿)と呼ばれる。
ついで、阿弥陀仏の西方の仏国土が七宝や黄金にかざられる荘厳な安楽に満ちたありさまが描かれる。この極楽の仏国土に一切の衆生が阿弥陀仏の本願にもとづいて行くことができる。そのためには仏の広大な慈悲を信じ念ずれば、臨終のとき多くの比丘の集団にとりかこまれた阿弥陀仏がその前に立つと説く。
阿弥陀仏の仏国土は中国において、「浄土」と呼ばれた。ここから浄土教が生まれ、東アジアに大きな影響を与えた。17)
16) 藤田宏達訳『梵文和訳無量寿経・阿弥陀経』法蔵館、1975年。 【本文へ】
17) 藤田宏達『原始浄土思想の研究』岩波書店、1970年。 【本文へ】